【日刊・英国生活】留学生のためのイギリス英語 発音講座(2)イギリスの地名は外国人泣かせ
「日刊・英国生活」では全3回にわたって、聖徳大学人文学部教授 小川直樹先生から、留学生のためのイギリス英語についての特別記事をご寄稿いただいています。第二回目の今回は強勢位置について。「ムッドァヌウヅ」って何のことだかわかりますか?
※この記事の掲載にあたっては、英語・語学書の総合出版社アルクのご協力を頂きました。
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2.イギリスの地名は外国人泣かせ
イギリスは国が小さいため、あちこちに行きやすいんです。列車に乗って、数時間もすればイギリスの端まで行けるんです。
あ、ちなみに「列車」と書いたことに注意してください。イギリスでは、ほとんどの列車が電化されていません。ディーゼル車なんですね。そのため、「電車」ではなく「列車」(あるいは「汽車」?)なんです。だからこそ、イギリスの駅、特にロンドンのターミナル駅は、どこもすすけていて排気ガスの臭いがします。まあ、これが旅情を誘うとも言えるかもしれませんが。
■Invernessはどこ?
あるとき、ネス湖に行ってみようと思いました。あのネッシーが出るというネス湖です。ネス湖があるのはスコットランド。最寄駅はインバネス(Inverness)です。ロンドンの駅で切符を買う段のことです。
イギリスでは、切符は窓口で買うのが普通。駅の窓口で、行列に並び、自分の番を待ちます。そして、自分の番が来ました。
「A return to Inverness, please.」というようなことを言ったと思います。でも、このときに事件が勃発したのです。私が言った言葉が通じなかったのです。自分は英語音声学者でイギリス英語発音マニアですから、発音には自信があったわけです。でも、通じなかった。いったいなぜ?
問題はInvernessの発音にあったのです。この地名の発音は調べていませんでした。だから、自己流で発音してみたのです。多音節語だから、おそらくは真ん中(正確には後ろから2番目)あたりに強勢があるだろうと思ったんです。つまり、InVERnessと発音してみた。その結果、通じなかったんです。
一応、音声学者ですから、「あ、強勢位置が間違っていたんだな」とピンと来たわけです。そこで、急きょ言い直しました。INvernessと。
でも、これも駅員の反応はイマちょっとでした。でも、そのとき、駅員が聞いてくれました。「InverNESS?」と。
そのときは、さすがにびっくりしましたね。まさか最終音節に強勢が付くとは思わなかったからです。
ただ、Invernessという地名の語源を考えると、なぜ最終音節に強勢が付くのかわかります。もともとInver+nessで、nessは川という意味なんです。英語の地名は通常、最後の単語に第一強勢が付くのです。例えばTower BRIDGE、Piccadilly CIRcus、Oxford UniVERsity、Windsor CAStleのように、後ろ側の語を強く発音するんです。だからこそ、Invernessも最後のnessに強勢が付くんでしょう。
■強勢位置の間違いは致命的
Invernessの例からわかることは、英語においては、強勢位置の誤りは致命的だということです。まったく通じなくなってしまうのです。例えば、マクドナルドはイギリスにもたくさんあります。日本人同士でイギリスを旅すれば、マックなら馴染みがあるので、とりあえずマックに行こう、となるわけです。
で、どこにあるかを聞こうとして、「ホエア・イズ・マクドナルド?」なんて聞いても、相手はわかってくれません。そう、強勢位置がきちんとしていないからですね。正確にはMcDONald'sです。「ムッドァヌウヅ」に近い感じです。
ちなみに、RPではwhereなどのwhは、[w]だけで発音します。なので、whereは「ホェア」ではなく、「ウェア」、「ウェー」といった発音です。
なお、イギリスの地名の読み方の一部については、私が発音解説をした『究極のイギリス英語リスニングStandard』および『究極のイギリス英語リスニングDeluxe』(アルク)などをご覧ください。
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聖徳大学人文学部教授 小川直樹先生
IRICE英語教育学会理事・発音講座講師
1961年東京生まれ。聖徳大学人文学部英米文化学科教授。上智大学大学院言語学専攻博士前期課程修了。98年より1年間、イギリスのレディング大学言語科学学科で研修。専門は英語音声学・英語学・コミュニケーション。大学では、英語が好きになるための工夫を凝らした、音声重視の授業を展開している。アルクの通信講座「ヒアリング力完成発音トレーニング」などの監修も務める。著書に『イギリス英語でしゃべりたい! UK発音パーフェクトガイド』(研究社)、監修書に『小学校英語教師のための英語発音これだけ!』(アルク)などがある。


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